「医療、福祉」の賃上げは1人平均8,540円、15産業で最も少ない額 — 令和8年 賃金引上げ等の実態に関する調査を読む

メディレクト編集部の週次ノート|対象週 2026年10月19日〜25日|公開 2026-10-26
編集部ノート給与医療介護

今週の動き

2026年10月21日(水)、厚生労働省は「令和8年 賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表しました。民間企業が今年、賃金をどれだけ、どのような方法で改定したか(予定を含む)を調べる統計です。調査は7月20日〜8月10日に行われ、抽出した3,668社のうち1,862社が回答しました。

この調査でいう「1人平均賃金」は、所定内賃金(諸手当を含み、残業・休日・深夜の割増手当などを含まない)の1か月1人あたりの平均額です。「改定額」は改定の前と後の差額で、定期昇給(毎年決まった時期の昇給)とベースアップ(賃金表を書き換えて水準を上げること)などをまとめた結果です。

全体(15産業の合計)の改定額は1人平均13,926円(前年13,601円)、改定率は4.4%(前年と同じ)でした。これに対して「医療、福祉」は、改定額8,540円(前年5,589円)、改定率3.3%(前年2.3%)です。改定額は調査した15産業の中で最も少なく、改定率は運輸業、郵便業の3.0%に次いで2番目に低い値でした。

一方で、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合は、「医療、福祉」で95.8%と、全体の92.0%を上回りました(前年は84.9%)。賃金を上げた企業は多いものの、1人あたりの上げ幅は他の産業より小さい、という結果です。

この数字から読み取れること

まず、数字の範囲に注意が必要です。調査の対象は「常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業」です。国の統計の用語(経済センサスの用語の解説)では、医療法人や社会福祉法人は株式会社などの「会社」とは別の「会社以外の法人」に分類されています。このため編集部は、ここでの「医療、福祉」は株式会社などが運営する介護事業や医療関連の企業が中心で、医療法人や社会福祉法人の病院・施設の多くは含まれていないと読んでいます(調査の資料に、この点を直接書いた記述はありません)。また、数字の対象になる「常用労働者」は雇用期間を定めずに雇われている人で、契約期間のある人は含まれません。平均は常用労働者数で重みをつけた値で、職種別の数字はなく、職場ごとの差も分かりません。

そのうえで、昇給の仕組みの違いも表に出ています。

項目(令和8年)医療、福祉全体
定期昇給制度がある企業83.8%84.2%
定期昇給を行った・行う企業75.5%81.2%
定期昇給制度がある企業のうち、ベースアップを行った・行う企業48.7%57.9%

表の割合は、上の2行が賃金の改定を実施した・予定している企業と実施しない企業(「未定」の企業を除く)に対するもの、3行目が定期昇給制度がある企業に対するものです。「医療、福祉」では、定期昇給制度がある企業の割合は全体とほぼ同じですが、実際に定期昇給を行った企業の割合は全体より低くなっています。

ベースアップを行った企業の割合も全体より低いものの、「ベースアップを行わない」と答えた企業は「医療、福祉」16.4%、全体15.4%でほぼ同じです。「行った」の割合の差には、定期昇給とベースアップを区別していない企業(「医療、福祉」29.9%、全体24.7%)や、回答が不詳の企業(同5.0%、1.9%)が「医療、福祉」で多いことも表れています。ベースアップの割合の差だけで、上げる意思の強弱は判断できないと編集部は考えます。

広告

食事制限専門の宅配健康食

ウェルネスダイニングの食事制限専門の宅配健康食。

宅配食を見る →

編集部の見解

編集部は、この結果を「医療・介護の職場は給与が上がらない」と読む必要はないと考えます。対象が会社組織の企業に限られ、病院や施設の多くが入っていないと考えられるうえ、前年と比べれば改定額も改定率も上がっているからです。ただ、1人あたりの上げ幅は他の多くの産業より小さく、定期昇給を行った企業の割合も全体より低い結果でした。しかも、この調査は産業ごとの平均と割合なので、応募を考えている職場の給与がどう上がるかは分かりません。1年分の結果でもあるので、来年の数字もあわせて見たいところです。だからこそ、求人ごとに上がり方を確かめる価値があると編集部は考えます。

募集要項に書かれているのは、多くの場合「今の」給与です。そこで、求人を比べるときは、入職したあとの上がり方を面接や見学で確かめることを提案します。

  1. 昇給の時期と決め方: 「昇給は年に何回で、どのように決まりますか」
  2. 最近の実績: 「ここ数年、給与の水準そのものの見直し(ベースアップ)はありましたか」
  3. 手当の扱い: 「資格手当などの手当は、基本給とは別に見直されることがありますか」

仕組みを尋ねる形にすれば、失礼に感じられにくいと考えます。初任給が少し高い職場と、昇給の仕組みがはっきりしている職場のどちらが自分に合うかは、何年働くつもりかによっても変わります。目の前の金額だけで決めず、数年先の給与も比べる材料にしてみてください。

メディレクトについて

メディレクトは、病院・薬局・歯科医院・介護事業所の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトです。紹介や仲介はしておらず、登録も不要です。どの募集からも公式ページへ移れるので、勤務体制や休日の条件はそこで確かめられます。

出典

掲載内容は各病院の公式サイトの記載を、当サイトが機械的に読み取って整理したものです。応募・条件の確認は必ず病院の公式ページで行ってください。
コラム|編集部ノート|このサイトについて|掲載ポリシー|プライバシーポリシー|このサイトは求職者の個人情報を収集しません。
© 2026 メディレクト