医師の転職、紹介会社と直接応募はどう違う? メリット・デメリットを事実で整理
メディレクト のコラム|最終更新 2026-10-05(初出 2026-09-26)
永久保存版医師転職比較
この記事を載せているメディレクトは、病院の公式サイトに載っている募集(直接応募の募集)を集めたサイトです。その立場にあることを先にお伝えしたうえで、どちらが良い・悪いと決めつけず、事実で比べます。
医師の転職には、大きく分けて2つの入口があります。人材紹介会社(転職エージェント)に申し込んで病院を紹介してもらう方法と、病院の公式サイトの募集を見て自分で応募する方法です。
紹介会社は、希望を聞いてから紹介する
当社が確かめた医師向け紹介サイトの例では、申し込みフォームで次の項目を順に入力する形でした(2026年10月確認)。
- 希望の雇用形態(常勤・定期非常勤・スポット)と、転職を希望する時期
- 専門の診療科
- 氏名・生年月日・医師免許の取得年
- 住所・電話番号・メールアドレス
同じサイトでも、公開している求人は登録せずに検索できました。申し込みが要るのは、担当者が希望に合う求人を探して紹介する仕組みだからです。
- 職業安定法は「職業紹介」を、求人と求職の申込みを受けて、病院(求人者)と医師(求職者)の間の雇用関係の成立を「あっせん」(間に立って取り持つこと)すること、と定めています(第四条)
- 手数料や報酬を受け取って行う職業紹介(有料職業紹介)には、厚生労働大臣の許可が必要です(第四条・第三十条)。この記事の「紹介会社」は、この許可を受け、手数料を病院から受け取る事業者を指します(お金の流れは「紹介会社のお金は、病院が払っている」の節で説明します)
法律(職業安定法 第四条)は、求人と求職の申込みを受けて行うあっせんを職業紹介と定めています。こうした入力は、担当者が紹介を始めるための入口です。紹介会社は、受け取った個人情報を業務の目的に必要な範囲で扱い、適正に管理する決まりです(第五条の五)。
「非公開求人」とは
紹介会社の解説によると、非公開求人は、医療機関名や雇用条件などを一般に公開しておらず、ウェブサイトなどでは見られない求人で、紹介会社が扱うことが多いとされています。公開しない理由として、解説には次の例が挙がっています。
- 競合する医療機関に知られたくない
- 重要なポジションの募集を、院内のスタッフに知られたくない
- 応募が集中しそうなので、条件に合う人を紹介会社に絞り込んでもらいたい
- 退職に伴う急な募集で、求人を出す時間がない
紹介を受けるには、申し込んで担当者(コンサルタント)と面談し、希望条件と経歴を伝えるところから始まる、と解説は説明しています。病院の公式サイトには載っていないので、直接応募の側からは見られません。
なお、こうした求人の条件の良さなどを第三者が測った調査は、当社の調べでは見つかりませんでした。
広告北欧インテリアと暮らしの家具 BERRY-KAGU
北欧インテリアと暮らしの家具通販。
商品を見る →
紹介会社のお金は、病院が払っている
紹介会社を使っても、医師本人が費用を払うことは原則ありません。職業安定法(第三十二条の三)で、紹介会社は求職者から手数料を取ってはならないと決まっているからです(省令で決めた一部の例外を除く)。費用を払うのは、採用する病院です。
ここでいう手数料率は、病院から受け取った手数料の総額を、紹介で就職した人の予定年収の総額で割ったものです(厚生労働省)。
- 医師の手数料率は、紹介会社の事業所ごとの率を平均すると22.0%(2024年度の実績・厚生労働省)。率の帯で分けると「20.1〜30.0%」が最も多く、医師を扱う事業所の48.8%がここに入ります
- 東京都病院協会の報告書によると、病院が常勤医師1人の採用で払った手数料は平均335.9万円(平均手数料率22.7%・2022年度。日本医師会・四病院団体協議会の報告書の引用による)
日本医師会と四病院団体協議会(主な4つの病院団体の集まり)は、医療の手数料率は他の分野と比べて「特段高いわけではない」としつつ、病院は国が決めた診療報酬で運営しているため、この費用を価格に上乗せできないと説明しています。
紹介会社を使う・直接応募する:比べると
| 比べる点 | 紹介会社を使う | 病院に直接応募する |
|---|
| 求人を見るまで | 申し込み(雇用形態・時期・連絡先などの入力)をして、担当者から紹介を受ける | 入力も登録もなく、公式サイトの募集をすぐ見られる |
| 非公開求人 | 紹介を受けられる | 見られない |
| 連絡・日程調整・条件交渉 | 担当者が代わりに行う | 自分で病院と行う |
| 本人の費用 | 原則無料(手数料は病院が払う) | 無料 |
| 病院の費用 | 紹介手数料(医師は平均22.0%) | 紹介手数料はかからない |
| 直接応募だけの特典 | 対象外 | 祝い金・支度金を出す病院がある |
| 紹介会社経由を断る病院 | 応募できない | 応募できる |
| 不採用のあと | 同じ病院に応募し直しにくくなることがある | 紹介会社の違約金規約による制約は生じない |
表の上の3行は、探し方とやり取りの手間の違いです。紹介会社は入口で申し込みが要る代わりに、その先を任せられます。直接応募は入口で何も要らない代わりに、その先を自分で引き受けます。
紹介会社を使うメリットと注意点
メリット
- 条件交渉や日程調整を代わりにしてもらえる。 日本医師会・四病院団体協議会の報告書も、エージェントが本人に代わって条件交渉などを行うことを、求職者が民間の紹介を使う理由に挙げています
- 非公開求人を紹介してもらえる。
- 病院の回答で最多の経路。 福祉医療機構の調査(2025年7〜8月・434病院が回答)では、常勤医師を募集した287病院のうち78.4%が人材紹介会社を使っており最多、採用に最も効果が高かった経路を答えた198病院のうち43.9%が人材紹介会社を挙げ、これも最多でした
- 医療分野全体では、民間経由の就職が多い。 日本医師会・四病院団体協議会の報告書によると、医療分野(医師に限らない)では、民間の紹介会社を通じた就職がハローワークを通じた就職の約2.3倍でした(2023年度)
注意点
- 最初に希望条件と連絡先を伝える。 紹介を受けるには、先に見た申し込みが入口になります
- 不採用のあと、同じ病院に応募し直しにくくなることがある。 紹介会社経由で不採用になったあと、同じ医療機関や同じ法人の別の施設に直接応募すると、病院が紹介会社から違約金(契約で決めた、約束に反したときに払うお金)を請求される可能性があります。そのため病院が採用を見送り、「再応募が制限される」ことがある、と日本医師会はリーフレットで注意を呼びかけています。同会と四病院団体協議会の報告書は、こうした契約が「一定期間内」の採用を対象にしていると説明しています
- 紹介会社経由の応募を受け付けない病院がある。 当社が病院の公式サイトの採用ページを文言で調べたところ、「紹介会社を通じた応募は受け付けていない」と書いた病院が約30ありました(誤検出を含む概数)。ただし、その中には「医師以外」と対象を限り、医師は紹介会社経由でも受け付けている病院もあります
直接応募のメリットと注意点
メリット
- 入力や登録の手間が無く、すぐ見られる。 公式サイトの募集は、名前や連絡先を誰にも伝えずに読めます。病院に連絡するのは、応募すると決めたときです
- 募集要項を病院自身の言葉で確かめられる。
- 病院に紹介手数料がかからない。 常勤医師1人で数百万円になりうる費用です
- 直接応募だけの特典を書いている病院がある。 当社の調べで、「紹介会社を通さない応募」などを条件に祝い金・支度金を出すと書いた病院が約160〜170、直接応募した人を「優先して選考する」「優遇する」と書いた病院が約30ありました(いずれも誤検出を含む概数で、職種は医師に限りません)。医師の募集で当社が公式ページを確かめた3病院では、50万〜100万円の入職祝い金・就任手当でした
注意点
- 非公開求人は見られない。 その分の選択肢には触れられません
- 連絡・日程調整・条件交渉を自分で行う。 問い合わせ先を探して電話やメールで連絡し、見学や面接の日程を合わせ、給与・当直の回数・勤務開始日などの条件も自分で病院と確かめ、話し合います
- 医師の採用では、まだ少数派の経路。 同じ福祉医療機構の調査で、常勤医師を募集した287病院のうち43.9%が病院ホームページを使っていましたが、採用に最も効果が高かった経路を答えた198病院のうち、病院ホームページを挙げたのは2.0%でした(「使った経路」と「最も効果が高かった経路」は別の質問です)
なお、「直接応募のほうが給料が高くなる」ことを示した公的な統計は、当社が調べた範囲(厚生労働省・日本医師会・福祉医療機構の資料)では見つかりませんでした。特典は、それを書いている病院に限った話です。
2025年の制度改正で変わったこと
- 2025年1月: 紹介会社の許可の条件に、紹介で就職した人(期間の定めのない雇用)に2年間転職を勧めないことと、「お祝い金」などの名目で求職者にお金を渡して申し込みを勧めないことが加わりました。違反すれば指導の対象になります
- 2025年4月: 求人サイトなどの「募集情報等提供事業」(求人の情報を載せる事業で、あっせんはしない)も、求職者へのお金などの提供が原則禁止になりました
- 2025年4月: 紹介会社は、職種ごとの手数料率の実績を厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に載せることが義務になりました。違約金の決まりがある場合は、その額や発生する条件を、病院にあらかじめ書面などで示すことも求められています
なお、紹介会社は手数料に関する事項を求職者にも示す義務があります(職業安定法第三十二条の十三)。日本医師会・四病院団体協議会は2026年3月、病院が払う具体的な率や額まで求職者に示すよう求めています(要望の段階です)。
迷ったときの考え方
- 交渉や日程調整を任せたい・探す時間がない: 紹介会社は合理的な選択です
- 非公開求人も含めて選択肢を広げたい: 紹介会社への申し込みが必要です
- まず連絡先を伝えずに募集を見てみたい: 病院の公式サイトの募集から見られます
- 行きたい病院が決まっている: まず、その病院の公式サイトの募集ページを見ましょう。直接応募の特典や、紹介会社経由の応募の扱いが書かれていることがあります
- 紹介会社を使う場合も: 応募先を決める前に公式サイトの募集要項を見ておくと安心です。紹介会社経由で応募すると、同じ病院に直接応募し直しにくくなることがあるからです
広告60 日間試し寝できる純日本製羽毛布団
和雲の純日本製羽毛布団。60 日間試し寝できます。
布団を見る →
メディレクトについて
メディレクトは、病院の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトです。紹介や仲介はしておらず、登録も不要です。希望条件や連絡先を入力しなくても、地域・働き方・診療科で募集を絞り込めます。どの募集からも病院の公式ページへ移れるので、直接応募の条件や特典はそこで確かめられます。紹介会社だけが扱う非公開求人は載っていません。
この記事の数字は、記事末尾の出典と当社の文言検索の結果に基づいています。当社の件数は誤検出を含む概数です。制度は改正されることがあるので、最新の情報は出典のページで確認してください。
出典
- 職業安定法(第四条=職業紹介・有料の職業紹介の定義、第五条の五=求職者の個人情報の取扱い、第三十条=有料職業紹介事業の許可、第三十二条の三=求職者から手数料を徴収してはならないこと・ただし厚生労働省令で定めるときは例外、第三十二条の十三=手数料に関する事項の明示)e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- 厚生労働省「職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について」(医師の平均手数料率実績22.0%=事業所ごとの手数料率実績の平均で就職件数による重みづけなし・令和6年度実績、医師では「20.1〜30.0%」の帯が48.8%で最多、2025年4月からの手数料率実績の開示義務と、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で閲覧・検索できること) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001622750.pdf
- 厚生労働省リーフレット「紹介手数料率の実績の公開と違約金規約の明示が必要になります」(手数料率=求人者から徴収した手数料の総額÷求職者の予定年収の総額、2025年4月1日からの「人材サービス総合サイト」への手数料率実績の掲載と、違約金規約を設けている場合に違約金の額・発生する条件・解除方法を含む契約の内容を求人者へあらかじめ書面などで明示すること) https://www.mhlw.go.jp/content/001328410.pdf
- 厚生労働省リーフレット「職業紹介事業の許可条件が追加されます」(2025年1月1日から、紹介で就職した人〈期間の定めのない労働契約を結んだ人に限る〉への2年間の転職勧奨の禁止と、お祝い金などによる求職申込みの勧奨の禁止を許可条件に追加。違反時の是正指導) https://www.mhlw.go.jp/content/001327688.pdf
- 厚生労働省リーフレット「募集情報等提供事業者の皆さまへ」(2025年4月1日から、労働者になろうとする者への金銭等の提供を原則禁止) https://www.mhlw.go.jp/content/001323104.pdf
- 日本医師会・四病院団体協議会「有料職業紹介事業等に関する検討ワーキンググループ」報告書(2026年3月。東京都病院協会の報告書を引いた医師の平均手数料率22.7%・平均手数料額335.9万円〈2022年度〉、医療の手数料率は「特段高いわけではない」が価格に転嫁できないこと、エージェントが本人に代わって条件交渉などを行うため民間を使う傾向、医療分野で民間経由の就職がハローワーク経由の約2.3倍〈2023年度〉、不採用後「一定期間内」に同じ医療機関や同一法人内の別事業所が採用すると違約金を請求される可能性、2025年1月・4月の制度改正、第32条の13の明示の実効性確保として求人側が払う手数料率や金額を個別かつ具体的に求職者へ提示する義務づけの要望。東京都病院協会の報告書の調査対象の範囲は記載なし) https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
- 東京都病院協会の報告書(常勤医師の平均手数料額。数字は上の報告書の引用による) https://tha.or.jp/important/20240710.html
- 福祉医療機構「2025年度 病院の人材確保に関する調査結果」(2025年10月15日。2025年7〜8月実施・412法人434病院が回答。常勤医師を募集する際に使用した媒体・経路=人材紹介会社78.4%・病院ホームページ43.9%〈複数回答・287病院〉、常勤医師の採用に結び付く効果がもっとも高かった媒体・経路=人材紹介会社43.9%・病院ホームページ2.0%〈198病院〉) https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/251015_No005.detail.pdf
- 日本医師会 求職者向けリーフレット「有料の人材紹介サービス“見えないコスト”を知っていますか?」(制作 日本医師会・令和8年2月。手数料は年収の20〜30%にあたるかもしれないこと、紹介経由で不採用になった後に同じ医療機関や同一法人内の別事業所へ直接応募すると医療機関が違約金を請求される可能性があり「再応募が制限される」こと) https://www.med.or.jp/dl-med/doctor/region/leaflet_5.pdf
- 医師向け人材紹介サービスの解説「医師の転職における非公開求人とは」(非公開求人の定義・非公開にする理由・紹介を受けるには登録と面談が要ること。2025年1月29日公開・2026年10月5日確認) https://doctor.mynavi.jp/column/hikokai/
- 医師向け人材紹介サービスの解説「『公開求人』と『非公開求人』の違いとは?」(非公開求人の定義・非公開にする理由・紹介会社への相談から始まること。2018年12月5日公開・2026年10月5日確認) https://career-lab.m3.com/categories/guide/series/step2/articles/452
- 医師向け人材紹介サービスの申し込みフォーム(入力項目=雇用形態・転職希望時期・専門科目・氏名・生年月日・医師免許取得年・住所・電話・メール。同じサイトのトップページの求人検索は登録なしで使えること。2026年10月5日確認) https://doctor.mynavi.jp/contact/
- 当社調べ:病院の公式サイトの採用ページを文言で検索した結果(2026年9月・採用ページの本文が取れた約4,400病院。誤検出を含む概数)。うち医師向けの祝い金・就任手当の金額は、3病院の公式ページで2026年10月5日に確認(50万円・最大50万円・100万円。いずれも紹介会社を介さない応募が条件)
更新履歴
- 2026-10-05 永久保存版として再構成。希望条件の入力・非公開求人・連絡と交渉の負担について加筆
この記事について
この記事は メディレクト が公開情報をもとにまとめた読み物です。制度や数字は変わることがあるので、出典のページで最新の内容を確認してください。メディレクト は病院・薬局・歯科医院・介護事業所の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、紹介や仲介はしていません。