医師が病院に直接応募するときの進め方 — 書類・最初の連絡・面接・条件交渉・入職までの手順
メディレクト のコラム|最終更新 2026-10-05(初出 2026-10-05)
永久保存版医師転職直接応募
病院の公式サイトの募集を見て、自分で応募しようと考えている医師に向けて、応募から入職までの手順をまとめました。法律・制度の部分は、条文と国の案内に基づいています。
この記事の使い方
紹介会社を通さずに病院へ直接応募するときは、病院との連絡、面接の日程調整、条件の確認と交渉を、すべて自分で行います。紹介会社を使う場合と比べた違いは「医師の転職、紹介会社と直接応募はどう違う?」にまとめています。
この記事は作業の順に並べています: 募集要項の確認 → 書類 → 最初の連絡 → 見学・面接 → 条件の確認と交渉 → 入職までの手続き。最後のチェックリストは、進み具合の確認に使ってください。
応募の前に:公式サイトの募集要項で確かめること
最初に、募集ページに何が書いてあり、何が書いていないかを確かめます。書いていない項目は、面接や条件の確認で聞く項目になります。
- 診療科: 募集している診療科と、その病院で担当する範囲(外来・病棟・救急など)
- 雇用形態: 常勤か、非常勤(週◯日の定期勤務)か、スポット(単発)か
- 勤務日・勤務時間: 曜日、始業・終業の時刻
- 当直: 当直の有無と回数、オンコールの有無
- 給与: 金額が書かれているか、「当院規定による」「応相談」だけか
- 応募方法: メール・応募フォーム・電話・郵送のどれか。指定の応募用紙があるか
- 問い合わせ先: 担当部署(医局、総務課、人事課など)と連絡先
- 直接応募の特典: 紹介会社を通さない応募に祝い金・支度金を出す、優先して選考する、と書いている病院もあります(比較記事)。対象や条件を募集ページで確かめましょう
メディレクトに掲載している医師の募集9,486件(2,331病院・2026年10月5日時点)を数えると、給与は、数字のある記載が全体の24%、数字のない記載(「当院規定による」「応相談」など)が34%、記載なしが41%でした。ここでの「数字のある記載」は年収に限らず、月給・日給・時給なども含みます。勤務日・勤務時間の記載は55%、当直の記載は41%でした(当社が要項から機械的に取り出した項目を数えたもの)。給与が書かれていない募集は珍しくないので、後で確かめる前提で応募して構いません。
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履歴書・職務経歴書
書類の基本は「医療系の履歴書・職務経歴書の書き方」にまとめています。ここでは医師に関わる要点だけを挙げます。
- 様式: 病院が指定の応募用紙を用意していれば、それを使います
- 医師免許: 「医師免許 取得」と書き、年月は免許証で確かめます
- 保険医登録: 保険医療機関で健康保険の診療をするには、厚生労働大臣の登録(保険医登録)が必要です(健康保険法第64条)。登録した年月は保険医登録票で確かめます
- 専門医などの資格: 認定した団体名と資格名を、認定証の記載どおりに書きます
- 職務経歴書: 期間・病院・診療科・役職ごとに、担当した診療(外来・病棟・救急・手術や検査など)を書きます。件数は自分の記録で確かめられるものだけにします。当直やオンコールの経験も書いておくと、面接で話が早くなります
当社が集めた病院の採用ページには、提出書類として履歴書のほかに、医師免許証の写し、保険医登録票の写し、臨床研修修了登録証、学位記の写し、健康診断書を挙げている例があります。何が要るかは病院ごとに違うので、募集ページで確かめ、写しを早めに用意しておきましょう。
病院への最初の連絡
連絡の方法は、募集ページで指定されたものに従います。指定がなければ、記録が残るメールか応募フォームが使いやすいでしょう。どの方法でも、伝える項目は同じです。
伝える項目
- どの募集を見たか(募集ページの名前、診療科、常勤・非常勤の別)
- 氏名と、医師としての経験年数・現在の診療科
- 希望する働き方と、勤務を始められる時期
- 添付した書類(または、送付先を教えてほしいこと)
- 見学を希望するかどうか
- 連絡のつきやすい時間帯と連絡先。現在の勤務先に知られたくない場合は、その旨
メールの例(【】の部分を自分の情報に置き換えます)
- 件名: 常勤医師募集への応募(【診療科】・【氏名】)
- 本文: 【病院名】【担当部署】ご担当者様。貴院の公式サイトで【診療科】の常勤医師の募集を拝見し、応募いたします。医師経験は【年数】年で、現在は【診療科】で外来と病棟を担当しております。勤務開始は【時期】以降を希望します。履歴書と職務経歴書を添付いたしました。差し支えなければ、面接の前に見学をお願いできますでしょうか。
- 署名: 【氏名】【電話番号】【メールアドレス】(平日【時間帯】は連絡がつきやすいです)
電話のときは、名乗ったうえで「医師の募集を見て連絡した」と伝え、担当部署につないでもらいます。聞くのは、募集が続いているか、書類の送り先と形式、見学ができるか、の3点で足ります。応募フォームの場合も、備考欄に上の項目を入れておくと、確認のやりとりが少なくて済みます。
見学・面接
見学は、職場を自分の目で見られる機会です。面接と同じ日に組まれることもあります。
準備しておきたい答え
- 転職を考えた理由と、この病院を選んだ理由
- これまでの診療内容と、できる手技・検査
- 当直・オンコールに入れるか、入れるなら頻度の希望
- 勤務を始められる時期と、現職の退職の見通し
- 医局に所属している場合は、その関係(退局するのか、相談済みか)
こちらから確かめたいこと
- 業務範囲: 外来の枠数、病棟で受け持つ患者数、救急の受け入れ、手術・検査の担当
- 当直・オンコールの回数: 月に何回か、当直明けの勤務はどうなるか
- 当直中の業務: 救急対応や病棟の呼び出しがどのくらいあるか
- 宿日直許可の有無: 宿日直許可は、労働基準監督署長が、ほとんど労働をしない宿直・日直を労働時間の規制から外す許可です。許可を受けた宿日直は、上限規制との関係で労働時間に数えません。ただし、その間に通常と同じような業務をした時間は労働時間として扱い、宿日直手当とは別に賃金を払う必要があります(厚生労働省のFAQ)
- 時間外労働: 2024年4月から、勤務医の時間外・休日労働に上限ができました。原則のA水準は年960時間、指定を受けた医療機関のB・連携B・C水準は年1,860時間です(連携Bは各院では960時間。厚生労働省の概要資料)。その病院の水準と、実際の時間外を聞きます
- 学会参加: 出張扱いになるか、費用の補助、年に何日まで認めるか
- 兼業(外勤): 認められるか。労働基準法第38条は、労働時間は事業場が違っても通算すると定めています。外勤を続けたい人は、予定をはっきり伝えましょう
- 医局との関係: 医局から派遣されている医師が多いか、人事にどう関わっているか
条件の確認と交渉
労働条件は書面で示される決まり
病院に雇われる(労働契約を結ぶ)場合は、雇う側が契約のときに、賃金・労働時間などの労働条件をはっきり示さなければなりません(労働基準法第15条第1項)。業務委託として契約する場合は、この決まりの前提(労働契約)とは形が違うので、契約書の中身を自分で確かめます。次の項目は、書面で渡すのが原則です(本人が希望すればメールなども可。労働基準法施行規則第5条)。
- 契約の期間と、更新がある場合はその基準
- 働く場所と業務の内容(変わりうる範囲を含む)
- 始業・終業の時刻、時間外労働の有無、休憩、休日、休暇
- 賃金の決め方・計算と支払いの方法、締め日と支払日
- 退職に関すること(解雇の理由を含む)
常勤(期間の定めのないフルタイム)の場合、昇給、賞与、退職金は、労働基準法の上では書面で渡す義務の対象に入っていません。 大事な条件であれば、書面に書き込んでもらうよう頼みましょう。示された条件が事実と違っていたときは、働く側はすぐに契約を解除できます(同条第2項)。
非常勤(短時間)や、期間の定めのある契約の場合は、もう一つ決まりがあります。パートタイム・有期雇用労働法(第六条)と同法の施行規則(第二条)により、雇う側は、昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無と相談窓口などを、文書の交付などで示さなければなりません。非常勤で働く医師も、短時間または有期の契約であればこの決まりの対象です。渡された書面にこの3つの「有無」が書かれているかを確かめましょう。
確かめる順番
金額は、どれだけ働くかとセットで見ないと比べられません。次の順に確かめると、条件どうしを比べやすくなります。
- 雇用形態と契約期間: 常勤か非常勤か、期間の定めがあるか
- 勤務日数と勤務時間: 週何日、何時から何時まで
- 当直・オンコールの回数: 月何回か、宿日直許可の有無
- 年俸・月給の中身: 基本給と各種手当の内訳。当直料が年俸に含まれるのか別払いか。時間外労働の賃金をどう払うか
- 賞与・退職金: あるか、どう決まるか
- そのほか: 学会参加、兼業、通勤や住居の手当、医師賠償責任保険の扱い
自分で交渉するときの進め方
- 希望は優先順位をつけて、まとめて伝える。 後から一つずつ足すより、話が進めやすくなります
- 理由を添える。 経験年数、できる手技、入れる当直の回数など、病院側が判断しやすい材料を出します
- やりとりはメールでも残す。 面談で話した内容も、後でメールで「この理解でよいか」と確かめておくと、行き違いを防げます
- 合意した内容は、労働条件の書面に入っているかを最後に確かめる。 書面に無い約束は、後で確かめようがありません
条件交渉の結果は、病院の事情や時期によって変わります。希望が通るとは限らないので、「ここまでなら受ける」という線を先に決めておくと迷いません。
内定から入職まで
現在の勤務先を辞める
- 法律の決まり: 期間の定めのない雇用は、いつでも解約を申し入れることができ、申し入れの日から2週間で終わります(民法第627条第1項)。期間の定めがある契約(任期付きなど)は扱いが違い、やむを得ない事由があるときは直ちに解除できる、と定められています(民法第628条)
- 就業規則: 退職の申し出の時期が決められていることがあります。民法の2週間とどちらに従うかは個別の事情によるので、就業規則を確かめ、早めに職場に相談しましょう
- 医局の慣行: 医局によっては、退職や転職の前に相談が必要なことがあります。いつ・誰に相談するかは、病院や医局によって違います
- 引き継ぎ: 担当患者、当直表、外来の枠など、引き継ぐものを書き出しておくと、退職日を決めやすくなります
保険医登録の届出
保険医の登録は、地方厚生局(または支局)が管轄しています。省令の第15条は、登録の管轄が変わったときは、その時から10日以内に、登録票を添えて、変更前の管轄の地方厚生(支)局に届け出ると定めています(届出の名前は、九州厚生局の案内では「保険医・保険薬剤師 管轄地方厚生(支)局長変更届」)。転職で管轄が変わるかどうかは、管轄の地方厚生局の案内で確かめてください。九州厚生局は、同じ局の管轄内の異動なら届出は要らないと案内しています。ほかの局の扱いは、各局の案内で確認しましょう。
健康保険の切り替え
退職すると、それまでの健康保険の資格は、退職日の翌日に失います(健康保険法第36条)。次の勤務先に入るまでに日が空くときは、その間の健康保険を自分で手続きします。元の健康保険を続ける「任意継続」の申し出は、資格を失った日から20日以内です(同法第37条)。任意継続の条件や、ほかの選び方は、加入している健康保険に確かめてください。医師国保など国民健康保険組合に入っている場合も、手続きは加入先に確認しましょう。
医師賠償責任保険
個人で医師賠償責任保険に入っている人は、勤務先や働き方が変わることを保険の窓口に伝え、補償の内容が変わらないかを確かめましょう。採用ページで医師賠償責任保険に触れている病院もあるので、病院側でどう扱うかも面接か条件の確認で聞いておくと安心です。
チェックリスト
- 募集ページで、診療科・雇用形態・勤務日・当直・給与・応募方法・問い合わせ先を確かめた
- 書かれていない項目を、面接で聞くことリストに書き出した
- 指定の応募用紙の有無と、提出書類(免許証・保険医登録票の写しなど)を確かめた
- 履歴書の免許・資格の年月を、免許証・登録票・認定証で確かめた
- 職務経歴書に、診療科ごとの担当内容と、当直・オンコールの経験を書いた
- 最初の連絡で、見た募集・経験・希望の働き方・開始時期・連絡先を伝えた
- 見学・面接で、業務範囲・当直とオンコール・時間外・学会参加・兼業・医局との関係を聞いた
- 条件を、雇用形態→勤務日数→当直→給与の内訳→賞与・退職金の順に確かめた
- 交渉で合意した内容が、労働条件の書面に入っていることを確かめた
- 現在の勤務先の就業規則で、退職の申し出の時期を確かめた
- 医局に所属している場合は、相談の時期と手順を確かめた
- 管轄の地方厚生(支)局が変わるなら、10日以内に保険医の届出をする予定を立てた
- 退職日と入職日の間が空くなら、その間の健康保険の手続きを決めた
- 医師賠償責任保険の補償が、新しい勤務先・働き方で変わらないかを確かめた
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メディレクトについて
メディレクトは、病院の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトです。登録は不要で、紹介や仲介はしていません。公式サイトに載っていない非公開の求人は掲載していないので、応募の方法や条件は、各募集から移れる病院の公式ページで確かめてください。
この記事の法令・制度の内容は、記事末尾の出典(2026年10月5日に確認)に基づいています。当社の件数は、掲載データを機械的に数えたものです。制度は改正されることがあるので、最新の情報は出典のページで確認してください。
出典
- 当社集計: メディレクトに掲載中の医師の募集(2026年10月5日時点・9,486件・2,331病院)のうち、給与の記載: 数字のある記載24%(2,292件。年収に限らず月給・日給・時給なども含む)・数字のない記載34%(3,264件)・記載なし41%(3,930件)。勤務日/勤務時間の記載55%・当直の記載41%(要項から機械的に取り出した項目を数えたもの)。あわせて、病院の採用ページに書かれた提出書類の例と、医師賠償責任保険に触れた採用ページの例(文言検索) https://medirect-jp.com
- 労働基準法(第十五条: 労働契約の締結時の労働条件の明示と、事実と違うときの即時解除/第三十八条: 労働時間は事業場を異にする場合も通算) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 (確認日 2026-10-05)
- 労働基準法施行規則(第五条: 書面で示す事項は第1項第1号〜第4号=契約期間・更新の基準・就業場所と業務(変更の範囲を含む)・労働時間と休日・賃金・退職で、昇給は除く。退職手当(第4号の2)と賞与(第5号)は書面の対象外。本人が希望すればメール等も可) https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023 (確認日 2026-10-05)
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(第六条: 雇い入れ時の特定事項の文書の交付等による明示)・同法施行規則(第二条: 特定事項=昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・説明を求めることができる旨・相談窓口) https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000076 https://laws.e-gov.go.jp/law/405M50002000034 (確認日 2026-10-05)
- 民法(第六百二十七条: 期間の定めのない雇用は申し入れから2週間で終了/第六百二十八条: 期間の定めがある雇用の解除) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (確認日 2026-10-05)
- 健康保険法(第三十六条: 資格喪失は翌日/第三十七条: 任意継続の申し出は20日以内/第六十四条: 保険医の登録) https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070 (確認日 2026-10-05)
- 保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令(第十五条: 登録に関する管轄地方厚生局長等に変更を生じたときは、10日以内に、登録票を添えて、変更前の管轄地方厚生局長等に届け出る) https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100013 (確認日 2026-10-05)
- 九州厚生局「保険医・保険薬剤師の方へ」(同一の地方厚生(支)局内の異動は届出不要=九州厚生局の案内・届出の名称) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html (確認日 2026-10-05)
- 厚生労働省「医師の働き方改革概要」(2024年4月からの時間外・休日労働の上限: A水準 年960時間、B・連携B・C水準 年1,860時間、連携Bは各院960時間) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001727403.pdf (確認日 2026-10-05)
- 厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ」(許可の主体は労働基準監督署長・許可を受けた宿日直は上限規制との関係で労働時間に数えない・通常と同じ業務をした時間は労働時間として扱い、宿日直手当とは別に賃金が要る) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001508614.pdf (確認日 2026-10-05)
更新履歴
- 2026-10-05 初版
- 2026-10-05 非常勤・有期契約の場合の書面の決まり(昇給・退職手当・賞与の有無)を追記
この記事について
この記事は メディレクト が公開情報をもとにまとめた読み物です。制度や数字は変わることがあるので、出典のページで最新の内容を確認してください。メディレクト は病院・薬局・歯科医院・介護事業所の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、紹介や仲介はしていません。