医師になるには — 医学部入学から臨床研修まで、道のりと年数
メディレクト のコラム|最終更新 2026-10-05(初出 2026-09-24)
永久保存版医師キャリア医師試験教材
医師になるまでの道のりは、法律で順番が決まっています。この記事では、医師を目指す高校生・社会人とそのご家族に向けて、その順番と年数、医学部での勉強、必要な資格、教材の種類、費用の考え方を、法律の条文と国などが公表している資料だけで整理します。
全体の流れ(浪人・留年がなければ最短8年)
- 大学の医学部(医学科)に入学する
- 6年間の途中で「共用試験」に合格し、病院での臨床実習に進む
- 卒業して医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける
- 2年以上の臨床研修(いわゆる初期研修)を受ける
- その後、多くの人は診療科ごとの専門研修に進み、専門医を目指す
医学部の6年と臨床研修の2年を合わせると、高校卒業から臨床研修を終えるまで最短で8年です。これは浪人や留年が一度もない場合の年数です。文部科学省の資料では、令和元年度(2019年度)に医学部へ入学した9,451人(編入学を含む)のうち、最短の年数で卒業したのは8,076人(85.5%)でした。
医学部に入るには(入試の科目)
令和7年度(2025年度)の医学部医学科の入学定員は、81大学で合計9,393人です(国立42大学・公立8大学・私立31大学。文部科学省)。
入試の方法は、文部科学省の「大学入学者選抜実施要項」で大きく3つに分けられています。
- 一般選抜: 学力検査や小論文などを中心に、調査書(高校の成績などの書類)や面接などを組み合わせて判定する
- 総合型選抜: 詳しい書類審査と、時間をかけた面接などで判定する
- 学校推薦型選抜: 出身高校の校長の推薦にもとづき、調査書を主な資料にして判定する
選抜には、大学入試センターが行う「大学入学共通テスト」と、各大学が独自に行う試験(個別試験)があります。令和9年度(2027年度)入試の共通テスト(試験日は2027年1月16日・17日)の教科は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語・情報です。
ただし、どの教科・科目を何点の配点で使うか、個別試験で何を課すか(学力試験の科目、小論文、面接など)は、大学ごと・選抜方式ごとに違います。 志望する大学の募集要項で確かめるのが出発点です。
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医学部の6年間で学ぶこと
大学の修業年限は原則4年ですが、医学を履修する課程は学校教育法第八十七条で6年と定められています。
学ぶ内容を分かりやすく分けると、次の4つになります。
- 教養: 医学以外も含めた幅広い学び
- 基礎医学: 人の体と病気を理解するための土台になる医学
- 臨床医学: 病気ごとの診断(何の病気かを見きわめること)と治療
- 臨床実習: 病院で、指導する医師のもと、患者さんの診療に加わりながら学ぶ
文部科学省は、全国の医学部が共通して教える中身の目安として「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」を公表しています。各大学の教育は、学ぶ時間の3分の2程度をこれに沿ったものにし、残りの3分の1程度は大学が独自に組み立てる、とされています。何年生で何を学ぶかは大学によって違います。
共用試験(CBT・OSCE)
医学生は、大学の進級試験・卒業試験とは別に、全国共通の「共用試験」を受けます。実施するのは公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)です。
- CBT(Computer Based Testing): パソコンの画面に出る問題に答えて、知識が身についているかを確かめる試験
- OSCE(オスキー。客観的臨床能力試験): 模擬の患者さんやシミュレータ(練習用の人形や機器)を相手に、患者さんへの接し方や診察の技能を確かめる試験
臨床実習の前にCBTとOSCEを受け、臨床実習のあとにもう一度OSCEを受けます。臨床実習前の試験に合格しなければ、臨床実習後の試験は受けられません。
臨床実習前の共用試験は、医学系では令和5年(2023年)4月から法律に定められた公的な試験になりました(CATO)。いまの医師法では、共用試験の合格が次の2つの条件になっています。
- 臨床実習で、医師の指導監督のもとに医業(医師が行う診療などの行為)をすること(第十七条の二)
- 医学部を卒業した人が医師国家試験を受けること(第十一条)
医師国家試験
医師法第二条は「医師になろうとする者は、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない」と定めています。試験の内容は、第九条で「臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、医師として具有すべき知識及び技能」とされています。
近年は毎年2月に行われています(第111回から第120回まで、いずれも2月の実施)。直近の第120回は令和8年(2026年)2月7日・8日に実施され、3月16日に合格発表がありました。厚生労働省の発表は次のとおりです。
| 区分 | 出願者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|
| 全体 | 10,244人 | 9,980人 | 9,139人 | 91.6% |
| うち新卒者 | 9,422人 | 9,205人 | 8,716人 | 94.7% |
「新卒者」は、その年度に大学を卒業した受験者のことです。前の年度までに卒業した既卒者は、受験者775人・合格者423人で、合格率は54.6%でした。合格率は高く見えますが、これは医学部の6年間で進級・卒業の関門を通ってきた人が受けている数字です。
次の第121回は、令和9年(2027年)2月6日・7日に行われる予定で、受験手数料は15,300円です(厚生労働省の施行公告)。
臨床研修(2年以上)
免許を取ってすぐに一人で診療できるわけではありません。医師法第十六条の二は「診療に従事しようとする医師は、二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない」と定めています。この2年間の医師が、いわゆる「研修医」です。
研修先の病院は「医師臨床研修マッチング」で決まります。研修を希望する人と病院の双方が希望を出し、一定の規則に従ってコンピュータで組み合わせを決める仕組みです。年度ごとの結果は厚生労働省のページに公表されています。
その先:専門医
臨床研修を終えた医師の多くは、専門医を目指して「専攻医」(専門研修を受けている医師)になります。日本専門医機構の説明による仕組みの概要は次のとおりです。
- 内科・外科・小児科など19の「基本領域」から、目指す診療科を選ぶ
- 専門研修プログラムに所属し、指導医のもとで決められた年限(3〜5年間)の研修を受ける。出産・育児・介護などに合わせて研修を組める「カリキュラム制」もある
- 研修を終えたら領域ごとの認定試験を受け、合格した医師が専門医を名乗れる
- 専門医は原則5年ごとに更新がある
- 基本領域の専門医を取ったあと、消化器内科・循環器内科のような、より専門性の高い「サブスペシャルティ領域」の専門医を目指せる(令和8年(2026年)6月19日現在で33領域)
教材は何を使うのか
ここでは、特定の市販教材ではなく「どんな種類の教材があるか」を紹介します。国や実施機関が無料で公表している資料は、名前と場所も書いておきます。
- 大学入学共通テストの過去問題(高校生向け): 過去3年分の問題と正解を大学入試センターのサイトで見られます。
- 大学の講義・実習と教科書(医学生向け): 医学部での勉強の土台です。共用試験も国家試験も、6年間で学ぶ内容の上に成り立っています。
- 共用試験の公開資料(医学生向け): CATOの医学生共用試験CBT公開資料のページに、CBTの出題基準(令和7年度版)と問題のサンプルが載っています。
- 医師国家試験の出題基準(医学生向け): 国家試験で問われる「妥当な範囲」と「適切なレベル」を項目ごとに整理したもので、試験委員はこの基準に沿って出題します。分野ごとの出題割合を示した「ブループリント」もあります。厚生労働省の令和6年版医師国家試験出題基準です。
- 医師国家試験の過去問題(医学生向け): 厚生労働省は実施した試験の問題と正答を公開しています。最新は第120回医師国家試験問題および正答です。画像を載せた「別冊」は、一部が非公表または加工されています。
- 模擬試験・対策講座(高校生・医学生向け): 民間の会社などが行うものもあります。選ぶときは、日程・費用・内容を自分で確かめましょう。この記事では、個別の教材や講座の評判・合格率は扱いません。
社会人・再受験から目指す場合
大学を卒業した人や社会人が医師を目指す道は、主に2つあります。
- 入試を受け直す(再受験): 高校生と同じ入試を受けて1年生から入る方法です。
- 編入学(いわゆる学士編入): 2年次または3年次に途中から入る方法です。
文部科学省の令和7年度(2025年度)の資料では、2年次編入学の定員は国立26大学と公立1大学で合計190人、3年次編入学の定員は島根大学の5人です。私立大学にも、編入学で若干名を募集する大学があります。
これとは別の集計として、国立大学の編入学の募集人員は194人(2年次・3年次の合計)で、志願者2,789人、入学者185人でした。志願者数は大学ごとの数の合計で、同じ人が複数の大学に出願した分を除いた実人数かどうかは、資料からは分かりません。
出願資格・試験科目・募集の有無は大学ごとに違い、年度によって変わることもあります。必ず各大学の最新の募集要項で確かめてください。
費用の考え方
学費は、国立・公立・私立で大きく違います。国などが公表している数字は次のとおりです。
| 区分 | 何の金額か | 授業料(年額) | 入学料(入学時) |
|---|
| 国立大学 | 国が定める標準額(学部共通) | 535,800円 | 282,000円 |
| 公立大学 | 令和7年度(2025年度)の公立大学全体の平均。医学部だけの数字ではない | 536,520円 | 地域外 382,806円/地域内 224,369円 |
| 私立大学の医学部 | 令和7年度(2025年度)入学者の初年度(1年目)の平均。6年分ではない | 2,708,609円 | 1,375,271円 |
私立大学の医学部の初年度(平均)は、授業料・入学料以外のお金も含めると次のとおりです。
| 内訳 | 金額 |
|---|
| 授業料+入学料+施設設備費(1,052,224円) | 5,136,104円 |
| 上に実験実習料(281,426円)と「その他」(1,423,718円)を足した初年度の総計 | 6,841,248円 |
- 国立大学は、標準額をもとに各大学が決めます。特別な事情があれば標準額の120%まで上げられます。標準額のままなら、6年間の授業料(535,800円×6年)と入学料の合計は3,496,800円です。
- 公立大学の入学料は、その地域に住む人(地域内)とそれ以外の人(地域外)で分けて集計されています。
- 私立大学の医学部の6年間の総額は、この記事では示せません。 国の調査は初年度の金額だけなので、志望する大学の募集要項で確かめてください。
このほかに、教科書代や生活費がかかります。
次の一歩
- 高校生の人: 志望する大学の募集要項で、入試の科目・配点・日程を確かめる。学費は国立・公立・私立の違いを保護者と見比べる
- 社会人・大学を卒業した人: 入試を受け直すか編入学かを決め、志望する大学の出願資格を確かめる
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医師になったあと
臨床研修を終えたあとの勤務先は、紹介会社を通して探す方法のほか、病院の公式サイトに載っている募集を見て直接応募する方法もあります。当サイト「メディレクト」は、病院などの公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、登録不要・無料です。紹介や仲介はしていません。
この記事の年数と数字は、記事末尾の出典(法律の条文と、厚生労働省・文部科学省・大学入試センター・医療系大学間共用試験実施評価機構・日本専門医機構の公表資料)に基づいています。制度や金額は変わることがあるので、最新の情報は出典のページで確認してください。
出典
- 医師法(第二条・第九条・第十一条(共用試験の合格が受験資格の条件)・第十六条の二・第十七条の二(共用試験に合格した医学生の臨床実習での医業)。現行条文)e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201
- 学校教育法 第八十七条(大学の修業年限。医学を履修する課程は六年)e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000026
- 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令 第二条・第十条(授業料年額535,800円・入学料282,000円の標準額、120%までの上限)e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416M60000080016
- 厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(令和8年3月16日。出願・受験・合格者数、新卒・既卒別、第111回〜第120回の実施日がいずれも2月) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71640.html
- 厚生労働省「医師国家試験の施行について」(第121回の試験日・受験手数料15,300円) https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/ishi/
- 厚生労働省「令和6年版医師国家試験出題基準について」(出題基準とブループリントの定義) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000128981_00001.html
- 厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答について」(過去問題の公開・別冊は一部非公表または加工) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html
- 厚生労働省「医師臨床研修制度」(制度の概要・マッチング結果の公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index.html
- 厚生労働省「医師臨床研修マッチング」(マッチングの仕組み) https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/matching/
- 医療系大学間共用試験実施評価機構「共用試験の概要」(CBT・Pre-CC OSCE・Post-CC OSCE の内容、臨床実習前の試験に合格しないと臨床実習後の試験を受けられないこと) https://www.cato.or.jp/cbt/establish/index.html
- 医療系大学間共用試験実施評価機構「導入の経緯」(医学系は令和5年4月から臨床実習前共用試験が公的な試験に) https://www.cato.or.jp/cbt/history/index.html
- 医療系大学間共用試験実施評価機構「医学生共用試験CBT公開資料」(CBT出題基準 令和7年度版・問題サンプル) https://www.cato.or.jp/cbt/medical-cbt/index.html
- 日本専門医機構「一般の皆様へ」(基本領域19・専門研修3〜5年・出産・育児・介護等に合わせて組めるカリキュラム制・領域ごとの認定試験・原則5年ごとの更新・サブスペシャルティ領域の例として消化器内科や循環器内科・同33領域(令和8年6月19日現在の一覧表)) https://jmsb.or.jp/ippan/
- 文部科学省「医学部医学科の入学定員(令和7年度)」(81大学9,393人・国立42・公立8・私立31大学、2年次編入学定員190人=国立26大学189人・公立1大学1人、3年次編入学定員5人=島根大学) https://www.mext.go.jp/content/20251201-mxt_igaku-100001063_01.pdf
- 文部科学省「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」(令和7年度の国立大学編入学の募集人員・志願者数・入学者数、私立にも編入学で若干名を募集する大学があること、令和元年度入学者の最低修業年限での卒業状況=入学9,451人(編入学を含む)・最短卒業8,076人・85.5%) https://www.mext.go.jp/content/20251201-mxt_igaku-100001063_02.pdf
- 文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」(全大学で共通して取り組むべき部分を整理したもので、学修時間の3分の2程度が目安) https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/mext_00005.html
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜の定義) https://www.mext.go.jp/content/20260529-mxt_daigakuc02--000010813_1.pdf
- 文部科学省「令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」(医学部の初年度の授業料・入学料・施設設備費・実験実習料・その他・総計) https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_sigakujo-000046463_1.pdf
- 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」(令和7年度の公立大学の授業料・入学料の平均。全学部の平均で医学部だけの数字ではない。入学料は地域外・地域内の別) https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_sigakujo-000046463_4.pdf
- 大学入試センター「令和9年度大学入学共通テスト」(試験日・出題教科・科目) https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r9/index.html
- 大学入試センター「過去3年分の試験問題」 https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/kakomondai/index.html
更新履歴
- 2026-10-05 永久保存版として再構成。勉強・資格・教材・費用・学士編入を加筆
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