医師の紹介手数料は、誰が・いくら・どの契約で払っているのか — 常勤・定期非常勤・「業務委託」の実態

メディレクト のコラム|2026-09-26
医師転職手数料

医師の紹介会社について、「2年は直接契約禁止」という条件の契約を示された、と書くX(旧Twitter)の投稿があります(2026年9月19日)。同じ投稿は、常勤の手数料は年俸の2割が基本で、業務委託料という名目で15%を上乗せする会社もある、とも述べています。一人の医師の体験談なので、この記事では法令と公的な資料で確かめられることと、確かめられないことを分けて整理します(確認日:2026年9月26日)。紹介会社を使う・使わないの比較は別の記事にあります。

払うのは病院。医師本人は原則無料

紹介会社は、求職者から手数料を取ってはいけません(職業安定法第32条の3第2項。省令で決めた一部の職業を除く)。払うのは採用する病院です。

病院から受け取る手数料にもルールがあります。同じ条の第1項は、次のどちらかによるもの以外は「いかなる名義でも」受け取ってはならないと定めています。

種類中身
上限制手数料省令で上限が決まっている(支払われた賃金の11%など)
届出制手数料紹介会社が国に届け出た「手数料表」の額

届出制の手数料には、法令上の率の上限が見当たりません(当社が法・施行規則と、厚生労働省が職業紹介事業の運用の考え方をまとめた「業務運営要領」で確認した範囲)。日本医師会と四病院団体協議会(以下、日医・四病協)は2026年3月の報告書で、手数料表に「就職後1年間の賃金の○○%を上限(最大100%)」という書き方が広く見られると指摘し、上限規制を要望しています(要望の段階)。

いくら払っているか:医師は平均22.0%

厚生労働省が紹介会社の開示データをまとめた資料では、医師の手数料率は平均22.0%でした(2024年度)。率は、手数料を「就職後1年間に支払われる見込みの賃金」で割ったものです。紹介会社の事業所ごとの分布は次のとおりです。

手数料率事業所の割合
0.1〜10.0%0.6%
10.1〜20.0%43.5%
20.1〜30.0%48.8%
30.1〜40.0%7.1%

表の分布も同じ資料の2024年度実績で、平均は事業所ごとの単純平均です(就職件数で重みづけしていない)。2025年4月からは、紹介会社は職種ごとの手数料率の実績を厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に載せる義務があり(就職の多い上位5職種)、事業所ごとに見られます。

投稿が述べる、常勤は年俸の2割が基本という話は、この分布と大きくは食い違いません。一方、業務委託料という名目の上乗せがどのくらいあるかを示す公的な資料は見つかりませんでした。なお業務運営要領は、「その他付加的なサービス」のような包括的な区分で、サービスと手数料の対応がはっきりしない手数料表を、「著しく不当」かを判断する例に挙げています。国は手数料表の変更を命じられます(同法第32条の3第4項)。

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定期非常勤・スポットの相場は、公表データが見当たらない

上の数字の対象は「常用就職」、つまり無期雇用か4か月以上の有期雇用です。4か月未満の短い仕事は入っていません。定期非常勤も、4か月以上の雇用契約ならこの中に数えられますが、非常勤だけを分けた数字はありません。当社が調べた公的資料(厚生労働省・日医・四病協・福祉医療機構)の範囲では、非常勤・スポットの手数料の相場を示す公的な資料は見つかりませんでした。

なお、非常勤医師の採用に最も効果が高かった経路は人材紹介会社(48.4%)で、病院ホームページは0.5%でした(福祉医療機構・2025年度調査)。

冒頭で触れた同じ投稿は、定期非常勤で、1年ごとに年俸の20%を払う条件を3社から示された、とも述べていますが、そうした条件がどのくらい一般的かは確かめられません。

国の「2年」の規則は、直接契約の禁止とは別のもの

職業安定法に基づいて国が定めた指針(告示)にも「2年」が出てきます。紹介会社は、自社の紹介で無期雇用として就職した人に、就職から2年間は転職を勧めてはならない、という規則です(2025年1月からは紹介会社の許可の条件)。これは紹介会社を縛る規則で、病院と医師の直接契約を禁じるものではありません。

一方で、紹介会社と病院の契約に「紹介した人を一定期間内に、他の経路や直接で採用したら違約金」という条項があり、多額の違約金をめぐるトラブルが起きていることを、日医・四病協の報告書が書いています。日医は求職者向けのリーフレットで、紹介経由で不採用になった人が同じ病院に直接応募し直すと、病院が違約金を請求されうるため「再応募が制限される」ことがある、と注意しています。

こうした条項について、2025年4月から指針が求めているのは、違約金の金額・発生条件・解除方法を、病院に書面やメールであらかじめ明示することです。条項そのものを禁じる規定は、当社が法・施行規則・指針・業務運営要領で確認した範囲では見つかりませんでした。職業安定法第2条は職業選択の自由を定めていますが、この種の条項との関係を国が示した資料も確認できていません。投稿にある2年の条件の中身は投稿からは分からず、当社は契約書も見ていません。

返戻金:早く辞めた場合の払い戻し

紹介会社は、早期離職のときに手数料を払い戻す「返戻金制度」について、病院と求職者に示す義務があります(施行規則第24条の5)。ただし制度を設けること自体は、指針で「望ましい」とされるだけです。日医・四病協によると、多くの事業者で払い戻しの割合は、1か月以内で80〜50%、3〜6か月では5〜10%程度です。

手数料のかからない応募の経路

当社が病院の公式サイトの採用ページ(約4,400病院)を文言で調べると、紹介会社経由の応募を断る病院が約30、直接応募を優先・優遇する病院が約30、直接応募を条件に祝い金などを出す病院が約160〜170ありました(職種は医師に限らず、誤検出を含む概数)。ただし、紹介経由を断るのは「医師以外」だけで、医師は受け付けている病院もあります。

契約や求人を見るときに確かめること

手数料は病院が払い、医師の平均は約2割です。ただ、非常勤の相場や契約条項の実態は、公的な資料では分からないことが多く残ります。次の点は自分で確かめておきましょう。

  1. 手数料表と返戻金:紹介会社は求職者にも、病院が払う手数料に関する事項を明示する義務があります(同法第32条の13・業務運営要領)
  2. 紹介会社の実績:人材サービス総合サイトで、職種別の手数料率や、6か月以内に辞めた人の数を確認できます
  3. 志望先の公式ページ:紹介経由の応募の扱いや直接応募の特典を、応募の前に見ておく
  4. 雇用契約か、業務委託(請負など)の契約か:指針は、雇用の募集と請負契約の募集を混同させない表示を求めています。求人や契約書で確かめましょう(冒頭の業務委託料の話とは別です)
  5. 手数料表に疑問があるとき:手数料表の変更を命じる権限は、都道府県労働局長にあります(業務運営要領)
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メディレクトについて

メディレクトは、病院の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトです。紹介や仲介はしておらず、登録も不要です。どの募集からも病院の公式ページへ移れるので、直接応募の条件や特典はそこで確かめられます。

出典

この記事について

この記事は メディレクト が公開情報をもとにまとめた読み物です。制度や数字は変わることがあるので、出典のページで最新の内容を確認してください。メディレクト は病院・薬局・歯科医院・介護事業所の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、紹介や仲介はしていません。
掲載内容は各病院の公式サイトの記載を、当サイトが機械的に読み取って整理したものです。応募・条件の確認は必ず病院の公式ページで行ってください。
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