医療事務になるには — 国家資格のない仕事。仕事の中身、民間の検定、医師事務作業補助者の研修、診療情報管理士まで

メディレクト のコラム|最終更新 2026-10-05(初出 2026-10-05)
永久保存版医療事務キャリア資格

医療事務の仕事は、医師や看護師と違い、法律で決まった免許がなくても始められます。この記事では、医療事務を目指す人に向けて、仕事の中身、民間の検定、医師事務作業補助者に求められる研修、診療情報管理士の認定、勉強に使える公式の資料、職業訓練を、国の資料と実施団体の公式ページで確かめられたことだけで整理します。

医療事務の仕事は、大きく4つ

病院やクリニックで「医療事務」と呼ばれる仕事は、主に次の4つに分けられます。

  1. 医事(受付・会計・レセプト): 厚生労働省の職業訓練のリーフレットでは、医療事務員の主な仕事として、外来の受付窓口(受付、電話対応、診察券の発行、入院の会計、入退院の手続き)、診療報酬の請求事務(カルテの内容の確認、診療報酬の点数の計算、診療報酬明細書=レセプトの作成と点検)、医療事務のシステムへの入力が挙げられています
  2. 医師事務作業補助者: 医師の指示のもとで、診断書などの文書の作成の補助や、電子カルテへの代行入力を行う仕事です。診療報酬(病院が健康保険から受け取る報酬)の決まりで、業務の範囲と研修が定められています(後の節で説明します)
  3. 診療情報管理士: 日本病院会の説明では、患者の診療情報を中心に、健康に関する情報を国際的な分類に基づいて集めて管理し、データを取り出して分析し、必要な情報を提供する専門職です
  4. 病棟クラーク・外来クラーク: 病院が病棟や外来に置く事務の職種名です。法令や診療報酬の決まりでの定義は、当社では確認できませんでした。仕事の中身は病院ごとに違うので、募集要項で確かめましょう

メディレクトに掲載している医療事務の募集5,458件(2026年10月5日時点)を職種名の語で分けると、職種名に「診療情報管理」か「診療録」を含む募集(以下「診療情報管理士」)が417件、それ以外で医師事務作業補助者・医療秘書などの語を含む募集が858件、病棟・外来クラークが452件、医事・医療事務・受付が2,312件、「事務職員」などそれ以外が1,419件でした。1件が1つの区分にだけ入るように、この順で重ならないように分けた件数です。「医療事務の年収データ」の職種名別の表とは数え方が違います。

医療事務に国家資格はない

厚生労働省の職業訓練のリーフレットは、「特別な資格がなくても、医療事務分野で働くことはできます」と説明しています。そのうえで、医療事務の知識や技術を身に付けた人を希望する病院や歯科医院が増えていること、病院などによっては給与面でプラスになる場合もあることを書いています(どちらも案内文の記述で、裏づけの数字はリーフレットには示されていません)。

検定を実施している団体の一つ、一般財団法人 日本医療教育財団も、Q&Aで「医療事務の資格に国家資格・公的資格はございません」「すべて民間資格です」と説明しています。

つまり、医療事務の資格・検定は、法律上、仕事に就くための必須の条件ではありません。 ただし、募集によっては応募の条件に書いています。後の節の当社データでも、診療情報管理士の募集では、応募の条件を読み取れた159件のうち94件に「診療情報管理士」の語がありました。どの資格・検定を求めるかは、病院・クリニックごとに違います。

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民間の検定・試験

医療事務の検定はいくつもの団体が行っています。ここでは、実施団体の公式ページで内容を確かめられたものを挙げます。どれかを薦めるものではありません。受験料・合格基準・最新の日程は、必ず各団体のページで確かめてください。

検定・試験実施団体公式ページで確かめられたこと(2026年10月5日)
医療事務技能審査試験(医科・歯科)一般財団法人 日本医療教育財団合格者に「メディカルクラーク」の称号。診療報酬請求事務と患者接遇が試験内容。自宅などからパソコンとインターネットで受ける方式(IBT)。2026年9月〜2027年1月の試験日は、毎月、土曜・日曜に7〜9回ずつ公表されている
医師事務作業補助技能認定試験一般財団法人 日本医療教育財団(公益社団法人 全日本病院協会と共催)合格者に「ドクターズクラーク」の称号。医師事務作業補助体制加算の研修のうち、基礎知識として習得が必要な科目に対応していると財団が説明。上と同じIBT方式・同じ試験日程
医療秘書技能検定試験一般社団法人 医療秘書教育全国協議会誰でも受験できる。年2回(2026年度は6月27日・11月7日)。領域Ⅰ(医療秘書実務・医療機関の組織運営・医療関連法規)、領域Ⅱ(医学的基礎知識など)、領域Ⅲ(レセプト作成・診療報酬点数表の理解)
医事コンピュータ技能検定試験一般社団法人 医療秘書教育全国協議会誰でも受験できる。年2回(2026年度は7月・11月)。3級・準1級・2級。医療事務・コンピュータ関連知識・実技(操作)
診療報酬請求事務能力認定試験公益財団法人 日本医療保険事務協会協会は2026年3月31日に解散。 最後の第63回は2025年12月14日に実施され、合格証明書の発行受付も終了したと公式サイトで告知。後を継ぐ試験があるかは、当社では確認できていない

医師事務作業補助者:診療報酬で決まっている研修

「医師事務作業補助体制加算」は、医師の事務作業を補助する専従(その仕事を専門に受け持つこと)の職員を置いて、医師の負担を減らしている病院が、健康保険から受け取る報酬(診療報酬)に上乗せされる点数です。この加算を算定する(受け取る)病院では、医師事務作業補助者について研修と業務の範囲が決まっています(厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の通知)。施設基準の通知の該当部分(第4の2)には、医師事務作業補助者に必要な資格の定めは見当たりませんでした。以下は、この加算を算定する病院での決まりです。加算を算定していない病院で医師の事務を補助する人の研修がどうなっているかは、当社では確認していません。

研修(加算を算定する病院の場合)

  1. 医師法、医療法、医薬品医療機器等法、健康保険法などの関連する法律の概要
  2. 個人情報の保護
  3. その病院で行う一般的な医療の内容と、配置される部門の医療の内容や用語
  4. 診療録(カルテ)などの記載・管理と、代筆・代行入力
  5. 電子カルテシステム(検査や薬の指示を電子的に出す仕組み=オーダリングシステムを含む)

できる業務・できない業務

つまり、同じ「医療事務」でも、受付やレセプトの仕事と、医師事務作業補助者の仕事は、診療報酬の決まりの上で分けられています。

働き方の条件

診療情報管理士:病院団体が認定する資格

診療情報管理士は、四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会)と医療研修推進財団が認定する資格です(国が与える免許ではなく、病院団体などの認定です)。日本病院会によると、認定者は2026年現在で49,802人を超えています。

認定試験を受けるには(次の2つのどちらか)

  1. 日本病院会の診療情報管理士通信教育を修了する
  2. 日本病院会が指定した大学・専門学校の指定された学科で、指定の単位を取って卒業する(指定校は、日本病院会の一覧で大学19校・専門学校35校)

通信教育の主な条件(日本病院会の募集要項・2026年10月時点)

第20回認定試験(日本病院会の実施要項)

この回に申し込めるのは、上の受験資格をすでに得ている人と、実施要項が認める見込みの人(指定校で2027年3月末までに卒業見込みの人、3年生で2028年3月末までに卒業見込みの人)です。通信教育の受講生については、2026年12月の科目試験を受ける予定の人は科目試験の合格を確かめてから受験料を払う、と実施要項に書かれています。これから通信教育を始める人は、次の第110期が2027年1月開講で修業期間が2年なので、この回には間に合いません。

項目内容
試験日2027年2月14日(日)
試験地14地区15会場
受付期間2026年9月1日〜10月30日(Web申し込み)
受験料10,000円(税込)
試験の形基礎分野・専門分野とも多肢選択(原則マークシート)、各100点満点・各60分。医師・看護師など指定の免許がある人は、申請により基礎分野が免除
合否発表2027年3月17日(メールで通知)。4月初旬ごろに合格者数と合格者の受験番号をWebサイトで公開
認定料30,000円(税込)。認定日は2027年4月1日

合格率は、当社が確かめた日本病院会の公式ページには載っていませんでした。合格者数は毎年4月初旬ごろに公開されるとされています。

病院の中での位置づけ

診療報酬の「診療録管理体制加算」では、病院が診療記録を管理する部門を置き、診療記録管理者(診療情報の管理や、入院患者の病気の統計をとる人)を配置することが条件になっています。加算1では、年間の退院患者2,000人ごとに1人以上の常勤の診療記録管理者を置くことなどが求められます。この通知の該当部分には、診療記録管理者に必要な資格の定めはありませんでした。

何から勉強するか(教材の種類)

ここでは、特定の市販教材ではなく「どんな種類の教材があるか」を紹介します。国や実施団体が公表している資料は、名前と場所も書いておきます。

  1. 診療報酬の点数表(全員向け): レセプトの仕事の土台です。点数表は診療行為ごとの点数(報酬の額)を国が定めた一覧で、厚生労働省の「告示」(国が正式に定めて公表する決まり)として出ます。算定のしかたの細かい注意は、厚生労働省から医療機関などへの「通知」で示されます。厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」のページに、医科点数表(告示)と、算定の留意事項の通知が載っています。点数表は改定で変わるので、勉強に使う資料が何年度の改定に対応しているかを確かめましょう。医療秘書技能検定(領域Ⅲ)や医事コンピュータ技能検定は、点数表の持ち込みが認められています
  2. 検定の公式資料(検定を受ける人向け): 医療秘書教育全国協議会は、過去問題の注文書を公式サイトに置いています。日本医療教育財団は、「各試験の対応報酬点数等について」という案内を公式サイトに載せています。2026年8月版では、2026年8月以降の医療事務技能審査試験と医師事務作業補助技能認定試験は、2026年6月1日時点で施行されている診療報酬などに基づいて出題するとされています。勉強に使う点数表の年度を合わせるときの目安になります
  3. 医師事務作業補助者の研修の項目(医師事務作業補助者を目指す人向け): 上の節の5項目(関連法規・個人情報・医療の内容と用語・診療録の記載と代行入力・電子カルテ)が、医師事務作業補助体制加算を算定する病院で、配置後の研修で身につける基礎知識です
  4. 公的な職業訓練(仕事を探している人向け): ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)は、仕事を探している人向けの職業訓練で、受講料は原則無料です(テキスト代は自己負担)。医療事務分野のコースもあり、外来の受付、診療報酬の請求事務、医療事務システムの操作などを学びます。厚生労働省のリーフレットでは、医療事務分野(実践コース)の就職率は70.0%でした(令和5年度の実績)。ただし、リーフレットには就職率の計算のしかた(何人のうち何人か、いつの時点か)が書かれておらず、当社では確かめられていません。要件を満たせば月10万円の給付金を受けながら受講できる制度もあります。申し込みはハローワークです
  5. 専門学校・大学(学生向け): 診療情報管理士を目指すなら、日本病院会の指定校で学ぶ道があります。医療事務の学科がある専門学校もあります。学費やカリキュラムは各校で確かめてください
  6. 通信講座・市販の問題集(社会人向け): 民間の会社などが出しています。選ぶときは、費用・期間・対応している点数表の年度・目指す検定を自分で確かめましょう。この記事では、個別の講座や教材の評判・合格率は扱いません

募集で求められていること(当社データ)

メディレクトに掲載している医療事務の募集で、当社が要項から機械的に取り出した「応募の条件」の欄に出てくる語を数えました(2026年10月5日時点)。「応募の条件を読み取れた」件数は、当社の取り出しで拾えたものの数で、残りの募集の公式ページに条件が書かれていないという意味ではありません。

職種の区分募集応募の条件を読み取れた条件に出てくる語
医事・医療事務・受付2,312件1,014件医療事務の検定・資格に触れた記載 78件
医師事務作業補助者など858件337件医師事務作業補助の検定に触れた記載 39件
診療情報管理士(職種名に「診療情報管理」か「診療録」を含む募集)417件159件「診療情報管理士」94件

次の一歩

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医療事務になったあと

勤め先は、紹介会社や派遣会社を通して探す方法のほか、病院の公式サイトに載っている募集を見て直接応募する方法もあります。当サイト「メディレクト」は、病院などの公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、登録不要・無料です。紹介や仲介はしていません。

この記事の内容は、記事末尾の出典(厚生労働省の通知・リーフレットと、検定の実施団体の公式ページ。2026年10月5日に確認)に基づいています。検定の日程・費用・制度は変わることがあるので、最新の情報は出典のページで確認してください。

出典

更新履歴

この記事について

この記事は メディレクト が公開情報をもとにまとめた読み物です。制度や数字は変わることがあるので、出典のページで最新の内容を確認してください。メディレクト は病院・薬局・歯科医院・介護事業所の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、紹介や仲介はしていません。
掲載内容は各病院の公式サイトの記載を、当サイトが機械的に読み取って整理したものです。応募・条件の確認は必ず病院の公式ページで行ってください。
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