薬剤師になるには — 6年制の薬学部から国家試験・免許まで、道のりと年数

メディレクト のコラム|最終更新 2026-10-05(初出 2026-10-05)
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薬剤師になるまでの道のりは、法律で順番が決まっています。この記事では、薬剤師を目指す高校生・社会人とそのご家族に向けて、その順番と年数、薬学部での勉強、国家試験、教材の種類、費用の考え方を、法律の条文と国などが公表している資料だけで整理します。

全体の流れ(入学から卒業まで6年)

  1. 大学の薬学部の6年制の課程(薬学科など)に入学する
  2. 実務実習の前の年度に「薬学共用試験」を受けて一定の成績を修め、5年次以降に病院・薬局での実務実習に進む
  3. 6年制の課程を卒業し、薬剤師国家試験に合格する
  4. 申請して薬剤師名簿に登録され、厚生労働大臣の免許を受ける

薬剤師法は「薬剤師になろうとする者は、厚生労働大臣の免許を受けなければならない」と定め(第二条)、免許は国家試験に合格した人に与えられます(第三条)。免許は、合格した人の申請によって薬剤師名簿に登録することで行われます(第七条)。薬剤師法には、免許を受けたあとに必ず受けなければならない研修の規定はありません(処分を受けた人に命じられる再教育研修を除く)。

薬学部の6年制の課程は、入学から卒業まで6年です。留年が無ければ、卒業する年の2月の国家試験に合格して免許の申請に進みます。文部科学省の調査では、2019年度に6年制の課程に入学した10,894人のうち、6年後の2024年度に卒業したのは7,374人(67.7%)、その年の国家試験(2025年2月の第110回)に合格したのは6,402人(58.8%)でした(編入学者を含まない。国立・公立・私立の合計)。

薬学部には6年制と4年制がある

大学の修業年限は原則4年ですが、学校教育法 第八十七条第二項は、「薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの」の修業年限を6年と定めています。

薬剤師国家試験を受けられるのは、この6年制の課程を卒業した人です(薬剤師法 第十五条第一号)。同じ薬学部でも、4年制の課程(薬科学科など)は医薬品の研究・開発などの分野の人材を育てる課程で、卒業しても受験資格は得られません(文部科学省の説明資料)。

区分修業年限主な目的国家試験の受験資格
6年制の課程6年薬剤師の養成卒業すれば得られる
4年制の課程4年研究者など、医薬品の研究・開発などの人材養成得られない(下の経過措置を除く)

6年制になったのは2006年度(平成18年度)の入学生からです。それより前の制度で学んだ人や、2006〜2017年度に4年制の課程に入学して卒業し、大学院の修士・博士課程を修了した人などには、経過措置として受験資格が認められる場合があります(後者は厚生労働大臣の認定が必要。第112回の施行公告=厚生労働省が試験の日程や受験資格を正式に知らせる文書)。これから目指す人は、6年制の課程に入るのが道筋です。

文部科学省の資料では、6年制の薬学部を持つ大学は78大学81学部、4年制の薬学部を持つ大学は28大学28学部です(2024年4月1日現在)。2025年度の入学定員は、6年制が11,567人、4年制が1,331人でした。文部科学省は2025年度から、6年制の薬学部の定員を抑える措置を始めています。

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薬学部の6年間で学ぶこと

全国の薬学部が共通して教える中身の目安として、「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」があります。最新の改訂は2023年(令和5年)2月で、2024年度の入学生から使われています(厚生労働省の資料)。何年生で何を学ぶかは大学によって違いますが、学ぶ分野は、薬学共用試験の出題の分け方(下の節)を見るとおおよそつかめます。

実務実習は5年次以降に病院・薬局などで行われ(薬学共用試験センター)、6か月程度の実務実習が必修です(文部科学省の説明資料)。

薬学共用試験

薬学生は、大学の進級試験・卒業試験とは別に、全国共通の「薬学共用試験」を受けます。実施するのは特定非営利活動法人 薬学共用試験センターです。

同センターは、必要な理由を次のように説明しています。実務実習では薬学生が実際の調剤を行い、患者さんに直接接する。資格の無い薬学生が薬剤師と同じ行為をすることは、薬剤師法 第十九条(「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない」)に反する。このため、実務実習を行うには薬学共用試験で一定水準以上の成績を修めていることが必須だ、という説明です。

試験は、実務実習を行う前の年度に、原則として12月1日〜1月31日のうち各大学が決めた日程で行われます。

薬剤師国家試験

試験は「薬剤師として必要な知識及び技能」について、毎年少なくとも1回、厚生労働大臣が行います(薬剤師法 第十一条・第十二条)。第101回(2016年)から第111回(2026年)までは、いずれも2月に2日間で行われました(厚生労働省の過去の試験結果の一覧)。

試験科目(薬剤師法施行規則 第八条)は、「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」「法規・制度・倫理」「実務」の7つです。問題は、基本を問う「必須問題」と、「一般問題」(理論を問う「薬学理論問題」と、現場の場面で考える「薬学実践問題」)に分かれます。第111回は、必須問題90問・薬学理論問題105問・薬学実践問題150問の計345問でした。

合格基準(第111回)は、次のすべてを満たすことでした。

総得点の基準(第111回は426点)は毎年同じではありません。基本方針では、合格点を固定の点数にせず、問題の難しさを補正したうえで、その回の受験者全体の得点の分布(平均点と、得点のばらつきの大きさ)をもとに決める方式(相対基準)をとるとされています。

直近の結果: 第111回は2026年(令和8年)2月21日・22日に行われ、3月25日に合格発表がありました。厚生労働省の発表は次のとおりです。

区分出願者受験者合格者合格率
全体14,261人12,774人8,749人68.49%
うち6年制の新卒者8,856人7,781人6,711人86.25%
うち6年制の既卒者—4,871人2,013人41.33%
うちその他(厚労省の資料の区分で「旧4年制卒、受験資格認定者」)—122人25人20.49%

「新卒者」は、その年度に6年制の課程を卒業した受験者、「既卒者」は前の年度までに卒業した受験者です(既卒者・その他の出願者数は、資料の表が読み取れなかったため示していません)。

86.25%と58.8%の違い: 2つの数字は、分母も試験の回も違うので、同じ条件の比較ではありません。

どちらが正しいという話ではなく、何を数えたかが違います。

全体の合格率は第104回(2019年)から第111回まで、68〜71%の間で推移しています(厚生労働省「試験回次別合格者数の推移」)。

次回: 第112回は、2027年(令和9年)2月20日・21日に行われる予定です。試験地は北海道・宮城県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・広島県・徳島県・福岡県、受験手数料は6,800円、書類の受付は2027年1月4日〜14日、合格発表は3月25日の予定です(厚生労働省が試験の日程や受験資格を正式に知らせる「施行公告」による。2027年3月15日までに卒業見込みの人も出願できます)。

これからの変更: 厚生労働省は2026年3月、新しい「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」をまとめました。2024年度の入学生が初めて受ける第115回(2029年度=令和11年度に実施)から適用し、新しい出題基準を作ること、「複合問題」(薬学実践問題のうち、実務とそれ以外の科目を関連させた問題)を10問減らす方針、合格基準は今の考え方を続けることなどが示されています。

免許を受けたあと

厚生労働省の統計(令和6年=2024年12月31日現在)では、届け出た薬剤師は329,045人でした。主に働いている場所は次のとおりです。

主に働いている場所人数全体に占める割合
薬局197,437人60.0%
病院57,595人17.5%
診療所5,695人1.7%
医薬品関係企業34,184人10.4%
衛生行政機関・保健衛生施設6,906人2.1%
大学5,011人1.5%

下の3行の割合は、統計の人数から当社で計算しました。表に載せていない区分(介護保険施設で働く人、その他の業務の人、無職の人など)があるため、表の割合を足しても100%にはなりません(93.2%)。医薬品関係企業には、製薬会社のほか、ドラッグストアなどの店舗販売業や卸売業で働く人が含まれます(統計の区分による)。転職するときの手続き(保険薬剤師の届出など)は「薬剤師が病院・薬局に直接応募するときの進め方」にまとめています。

教材は何を使うのか

ここでは、特定の市販教材ではなく「どんな種類の教材があるか」を紹介します。国や実施機関が無料で公表している資料は、名前と場所も書いておきます。

  1. 大学入学共通テストの過去問題(高校生向け): 過去3年分の問題と正解を大学入試センターのサイトで見られます。2027年度入試の共通テストは、2027年1月16日・17日の予定です。どの教科・科目を使うか、個別試験で何を課すかは大学ごと・選抜方式ごとに違うので、志望する大学の募集要項で確かめましょう
  2. 大学の講義・実習と教科書(薬学生向け): 薬学部での勉強の土台です。共用試験も国家試験も、6年間で学ぶ内容の上に成り立っています
  3. 薬学共用試験の公開問題(薬学生向け): 薬学共用試験センターのCBT問題の一部公開のページで、問題の例164問が公開されています(本試験で正答率が98%を超えた90問と、体験受験・トライアルで正答率が25%未満だった74問)。本試験を受ける学生は、7〜9月に行われる「CBT体験受験」を受けることができ、分野ごとの採点結果が返されます
  4. 薬剤師国家試験の出題基準(薬学生向け): 試験委員が問題を作るときに「妥当な出題範囲」と「ほぼ一定の問題水準」を保つための基準です。いまは第106回以降に適用される版が、厚生労働省の薬剤師国家試験のページに載っています。第115回からは新しい出題基準になる予定です
  5. 薬剤師国家試験の過去問題(薬学生向け): 同じページの「過去の試験問題及び解答」に、第97回から第111回までの問題と解答が載っています。第115回から適用される新しい基本方針は、過去に出題した良い問題を2割程度、問題の趣旨を変えずに設問や選択肢を工夫して再び使う方針を示しています
  6. 模擬試験・対策講座(高校生・薬学生向け): 民間の会社などが行うものもあります。選ぶときは、日程・費用・内容を自分で確かめましょう。この記事では、個別の教材や講座の評判・合格率は扱いません

社会人・ほかの学部から目指す場合

大学を卒業した人や社会人が薬剤師を目指す場合も、6年制の課程を卒業することが受験資格の条件です(薬剤師法 第十五条第一号)。主な道は2つあります。

4年制の課程(薬科学科など)を卒業しただけでは受験資格は得られない点に注意してください(2006〜2017年度の入学者で大学院を修了し、厚生労働大臣の認定を受けた人などの経過措置を除く)。外国の薬学校を卒業した人や外国の薬剤師免許を持つ人は、厚生労働大臣の認定を受けて受験する道があります(薬剤師法 第十五条第二号)。

費用の考え方

学費は、国立・公立・私立で大きく違います。国などが公表している数字は次のとおりです。

区分何の金額か授業料(年額)入学料(入学時)
国立大学国が定める標準額(学部共通)535,800円282,000円
私立大学の薬学系学部令和7年度(2025年度)入学者の初年度(1年目)の平均。6年分ではない1,418,656円326,148円

私立大学の薬学系学部の初年度(平均)は、授業料・入学料以外のお金も含めると次のとおりです(文部科学省の区分「薬」。6年制と4年制の別は資料に示されていません)。

内訳金額
授業料+入学料+施設設備費(338,340円)2,083,144円
上に実験実習料(30,080円)と「その他」(67,960円)を足した初年度の総計2,181,184円

このほかに、教科書代や生活費、国家試験の受験手数料(第112回は6,800円)がかかります。

次の一歩

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薬剤師になったあと

薬剤師の勤め先は、紹介会社を通して探す方法のほか、病院・薬局・ドラッグストアの公式サイトに載っている募集を見て直接応募する方法もあります。当サイト「メディレクト」は、病院・薬局・ドラッグストアの公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、登録不要・無料です。紹介や仲介はしていません。2026年10月5日時点で、薬剤師の募集を3,279件(病院2,769件・薬局・ドラッグストア510件)載せています(同じ内容の募集を1件にまとめる前の件数。年収データの記事は、まとめた後の3,202件で数えています)。

この記事の年数と数字は、記事末尾の出典(法律の条文と、厚生労働省・文部科学省・薬学共用試験センター・大学入試センターの公表資料)に基づいています。制度や金額は変わることがあるので、最新の情報は出典のページで確認してください。

出典

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この記事について

この記事は メディレクト が公開情報をもとにまとめた読み物です。制度や数字は変わることがあるので、出典のページで最新の内容を確認してください。メディレクト は病院・薬局・歯科医院・介護事業所の公式サイトに載っている募集だけを集めた検索サイトで、紹介や仲介はしていません。
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